集合住宅でペットを飼いたい人のための、家を探す前に読む10の情報
集合住宅でのペットの飼育 判例集
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事例1:
・飼育者に承諾なく変更した禁止規定は無効か
・飼育行為を具体的な被害の発生する場合に限定せずに一律に禁止する管理組合の規定は無効か
(分譲マンション)
(裁判当時の管理規定)
禁止特約のない規定を改正し禁止に変更
- <訴訟の背景>
「ペット飼育の禁止規定がないマンション」が、新たにペット禁止の規定を作り、以前から飼育していた居住者に対してペットの飼育禁止を求めた。
東京高裁平三(ネ)四四九〇号、平6・8・4民四部判決、控訴棄却(確定)
東京高裁 H06.08.04 控訴棄却確定 判例時報1509-71
<飼育者側の主張・要約>
◆「共同の利益に反する行為」とは、動物を飼育する行為を一律に含むものではなく、飼育により他人に迷惑をかける行為で、具体的な被害が発生する行為に限定されるものであり、動物の飼育を一律に全面禁止する管理組合規定は無効である。
◆ 動物の飼育の全面的禁止を定める規定改正は改正前から飼育している人の権利に「特別の影響」を及ぼすから、区分所有法三一条一項により控訴人の承諾が必要であり、承諾のない規定改正は無効
<要約・判決による争点の見解>
「区分所有法」六条一項
「共同の利益に反する行為」 の見解
「共同の利益に反する行為」は具体的内容や範囲を明示しておらず、区分所有者は管理規定においてこれを定めることができる。
マンション内での動物飼育は一般に他の区分所有者に有形無形の影響を及ぼすおそれのある行為であり、これを一律に共同の利益に反する行為として管理規定で禁止することは区分所有法の許容するところであると解され、具体的な被害の発生する場合に限定しないで動物を飼育する行為を一律に禁止する管理規定が当然に無効だとはいえない。
規定改正と 区分所有法三一条一項の「特別の影響」についての見解
犬が控訴人の家族の生活・生存にとって客観的に必要不可欠の存在であるなどの特段の事情があることを認めるに足りる証拠はない。したがって、本件規定改正は控訴人の権利に特別の影響を与えるものではない。
(飼い主の身体的障害を補完する意味を持つ盲導犬の場合のように、飼い主の日常生活・生存にとって特段の事情がある場合には その動物の飼育を禁止することは飼い主の生活・生存自体を制約することになり「特別の影響」を及ぼすといえる)
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事例2:
再三の飼育中止要求を無視した区分所有者に対する賠償請求と飼育差し止めを求めた例
(分譲マンション)
(裁判当時の管理規定)
小鳥・魚類以外の飼育禁止
- <訴訟の背景>
「飼育禁止」規定があるマンションで、昭和61年時点でペットを飼育していた区分所有者にペットクラブを設立させ、自主管理の下で、当時飼育中の犬猫一代限りにつきその飼育を認める事にした。
しかし、平成2年から 被告が犬の飼育をはじめたため、飼育を止めるように求めたが、その後も犬の飼育を続けている。
東京地裁 H06.03.31 判例時報1519-101
<飼育者側の主張>
◆クラブ設立の趣旨は共同生活の利害調整とペットとの共存であり、設立時の犬猫一代に限る合理的根拠がない。一律禁止は不合理で、犬猫の飼育を禁止する規定の効力は停止している。
◆ペットクラブは、設立時に飼育していた犬猫一代限りを会員とする としながら、その実は その後に飼育を始めたものをも会員としている。被告の新規加入を認めず飼育を禁止するのは不合理。
◆禁止規定はペットクラブ会員には及んでいない。会員と非会員を区別する根拠がないので平等原則に違反する。
<要約・判決による争点の見解>
ペットクラブ設立の趣旨についての見解
昭和61年6月の総会において議決したペットクラブ設立の趣旨は、飼育方法につき自主管理させるとともに、新規加入を認めず、現に飼育し、登録した犬猫一代に限ってのみ飼育を認め、時の経過に伴い、犬猫を飼育する者がいなくなり、ペットクラブが自然消滅するようにしたもの。クラブ会員でも、新規飼育は禁止されており、規定の効力が及ぶものであることは明らか。
新規加入を認めない事についての見解
「その後に飼育を始めたものをも会員としている」という事実は以下のようなもの。
<<昭和61年6月の設立当時、ペットクラブの会員は20名。その後、同年7月末に「管理組合ニュース」にてペットクラブ会員の住所等詳細と飼育犬猫の種類、匹数を 全組合員に公表し、かつ 今回公表した以外に犬猫を飼っている方は届け出るように呼びかけ、その結果同年8月に届け出た一名の追加加入が認められた>>
その後ペットクラブへの新規加入を認めた例はなく、会員は毎年 飼育中の犬・猫の写真や予防接種の書類を添付した名簿を理事会に提出し、犬猫の同一性に疑義を生じないようにしており、ペットクラブ設立後の運用において趣旨に反する措置があったとは認められない。
会員と非会員を区別する根拠がなく平等原則違反という主張に対する見解
ペットクラブ設立の趣旨は前述したとおりであり、会員であっても新たな飼育は禁止されている。
平成2年7月に飼育を始めた被告らに対し、規定の遵守と飼育差し止めを要求することは共同生活の秩序維持を図る原告の自治的活動として、なんら不合理なものということはできない。
(判決結果として、犬の飼育差し止めと賠償金の支払いが命じられた。ただし、訴訟費用は原告側の負担となった)
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事例3:
飼育中止要求を無視した飼育者側が「裁判を受けて立つ」として訴訟に発展した事に起因する賠償請求と飼育差し止めを求めた例
(分譲マンション)
(裁判当時の管理規定)
小鳥・魚類以外の飼育禁止
- <訴訟の背景>
規定に違反して犬を飼育している被告に対し、犬の飼育中止を求めたが、その要請を拒否して犬の飼育を継続し、弁護士を依頼して本件訴訟を提起せざるを得なくさせた。これを不法行為に該当するとして損害賠償を請求した。
上記事例と同様に、ペットクラブがあり、設立時に飼育していた犬猫に対して1代限りの飼育を認めている。
東京地裁 H08.07.05 判例タイムズ912・188
<飼育者側の主張>
◆犬をはじめとするペットを飼育する権利は、憲法一三条及び二九条によって保障されている。
このように 重要な権利を制限する時は、規定を弾力的に解釈し、対立する利益と比較し極力最小かつ合理的な制限にとどめるべき。
ペット飼育による具体的被害の発生時や、被害の発生する可能性が確率的に高い場合に限り禁止するという趣旨に解されるべき。
犬種も小型のシーズー犬であり、飼育によって他の住民に対して何ら被害を与えていない。よって被告の犬の飼育は本件規定に違反しない。仮にそのような解釈ができないとしても、本件において、具体的被害なくして差止め請求するのは権利の濫用として許されない。
◆ペットクラブ会員のみに飼育を認める事に合理的理由はない。非会員にのみ適用される飼育禁止規定は憲法一四条に違反するもの。その効力は認められない。
◆飼育差し止め要求に対し被告は誠実に対応してきたものであり、被告の行為は不法行為に当たらない。むしろ原告側が一方的に飼育中止を強制してきたものである。
<要約・判決による争点の見解>
飼育の権利と規定の弾力的解釈について
動物飼育は有形の無形の影響を及ぼすおそれがあるが、飼主が責任を持って必要な措置を十分に執れば、動物の種類、生態等によっては、そのおそれを実際上無視し得るほど小さくすることは可能であるが、
残念な事に規範意識、責任感、良識に欠ける者がペットを飼育する可能性を否定できない。
居住者の自主的な管理にゆだねることは限界があり、大方の賛同を得ることは困難である。
具体的な実害が発生した場合に限って規制することとしたのでは、右のような不快感等の無形の影響の問題に十分対処することはできないし、実害が発生した場合にはそれが繰り返されることを防止することも容易ではないと考えられる。
したがって、規定の適用に明確さ、公平さを帰すことに鑑みれば、右禁止の方法として、具体的な実害の発生を待たず、類型的に前記のような有形、無形の影響を及ぼす危険、おそれの少ない小動物以外の動物の飼育を一律に禁止することにも合理性が認められる。
この規定について被告の主張するような限定解釈を加える必要はなく、共同生活上の利益に対する具体的被害やその蓋然性の有無にかかわらず、飼育自体が本件規定に違反する行為というべきである。
ペットクラブ会員のみに飼育を認める事の合理性
設立趣旨、見解ともに「事例2」にほぼ準じた内容で、平等の原則には反しないとして被告の主張を退けた。
不法行為でないとする主張について
被告は、犬の飼育が規定違反であることを知りながら、再三にわたる飼育中止の要請を拒否した。
被告はその後も犬の飼育を中止しなかったため、管理組合の総会において被告に対し法的手続をとることを承認する決議がなされた。
右決議に先立ち、被告の妻は「規定があることは認めるが重要とは考えてはいない。お互いの考え方が違うのだから仕方ない。裁判は受けて立つ。」と述べ、これは被告の意向でもあった。
その結果、原告は弁護士に依頼して本件訴訟を提起せざるを得なくなったものである。したがって、被告の行為は原告に対する不法行為を構成するものというべきである。
(判決結果として、犬の飼育差し止めと賠償金の支払い、裁判費用の負担が命じられた)
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事例4:
規定に反する飼育の差止め請求
(マンション)
(裁判当時の管理規定)
犬猫等飼育禁止
- <訴訟の背景>
現に小鳥・魚以外の動物の飼育を禁じた賃貸マンションにおいて、バルコニーにサンルームを設置し、犬を放し飼いにしていた賃借人に対し、飼育の中止を求めたが応じなかったため、飼育の差し止めを請求した。
当時このマンションには犬を飼育しているものが他に二人いた。
大阪地裁 H02.10.25
<飼育者側の主張>
管理規定には「専有部分において、小鳥、魚以外の動物を飼育して、他の区分所有者に迷惑を及ぼす行為をしてはならない」とがあるが、「専有部分内における小鳥、魚以外の動物の飼育を禁止する」とは表現されていない。
<要約・判決による争点の見解>
「小鳥・魚以外の動物を飼育して・・・迷惑を及ぼす行為」
規定は犬猫などの動物の飼育を禁止する趣旨で定められている。原告側も一貫してその趣旨で規定を運用してきている。
また、被告は犬の飼育によって他の居住者に対して現実に迷惑を及ぼしていることからも、被告の犬の飼育は管理規定に違反している。
※当時犬を飼育していた他の2人は この時点で1人はマンションを売却し退居、1人は転居した。
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事例5:
飼い猫禁止特約は無効で契約解除は不当とする確認請求
(賃貸マンション)
(裁判当時の管理規定)
飼い猫禁止
- 飼い猫禁止の規定がある賃貸マンションにおいて、室内で猫を飼い、また野良猫も招き入れていた賃借人に対し、契約の解除を求めたが、賃借人が解除を不当として賃貸借契約継続の確認を求める訴訟を起こした。
東京地裁 S58.01.28 判例時報1080.78
<要約・判決による争点の見解>
賃貸の「飼い猫禁止」特約は無効か有効か
室内の汚れや傷、排泄物、転居時に棄てられる猫の野良猫化等を考慮すれば賃貸マンションでの飼い猫禁止」特約は有効といえる。
被告はマンション敷地内で野良猫に餌を与え、さらに賃貸借契約書の特約部分を塗りつぶす等の行為を行い、すでに当事者間の人間的な信頼関係は破壊されている。
(判決結果として、この賃貸借契約の解除は有効とされた)
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事例6:
禁止規定に反し犬猫を飼育した賃借人に対する賃貸契約の解除請求
(賃貸マンション)
(裁判当時の管理規定)
犬猫等飼育禁止
- 1Fにペットショップが入居している賃貸マンションの例。
2Fはペット飼育禁止として賃借契約を結んだが、賃借人は契約に違反して犬猫を飼育し、注意した後も飼育を続けたため、訴訟に発展。
東京地裁 S59.10.04 判例時報1153.176
<要約・判決による争点の見解>
賃貸借契約の解除は有効か
ペットの飼育禁止が取り決められている賃貸契約に対し犬猫を飼育する事は明らかな建物の用法違反であり、貸主からの通知後も無視して飼育を続けた事などにより、貸主と借主との信頼関係は破壊されたといえる。
(判決結果として、 この賃貸借契約の解除は有効とされた)
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事例7:
飼育禁止特約のない住居での賃貸借契約解除を不当とする確認請求
(賃貸集合住宅)
(裁判当時の管理規定)
飼育に関する禁止特約なし
- 東京地裁 S62.03.02 判例時報1262.117
この例は、禁止特約がない賃貸住居で多数の猫を飼育し続け、その結果 室内に傷をつけ、他の居住者にも迷惑を及ぼしたというもの。
賃貸借契約を解除した貸主に対し借主が契約解除は不当であるとして訴訟を起こしたが、例え飼育禁止特約がない場合でも、賃借人には「用法遵守義務」があるため、実際にペットの飼育で被害が発生した本件では、飼育を中止するように申し入れることができると共に、要求を無視して飼育を継続した場合、貸主と借主との信頼関係は破壊されたとみなし、貸し主は賃貸借契約を解除することができるという見解が出された。
※これらの事例集は、意図的に飼育者側敗訴のものを集めたわけではなく、事例集制作時点では、この類の訴訟での飼い主勝訴の事例を見つけることができなかった結果、敗訴事例ばかりになりました。
飼いたいがために、規約を自己都合で拡大解釈したり曲解しても、結局ペットとご自身を苦しめる結果となっています。
抱きかかえられる大きさまで>私はハスキー犬でも抱きかかえられる 等の読み替えは、司法の場では決して通用しません。