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錠が壊れていて、錠のない状態と同じように錠本来の用をなさなければ、当然家主の修繕義務の範囲内となります。しかし、たとえ「ピッキングに弱い錠」であったとしても、錠は壊れていなく正常に機能しているのであれば、一般的に家主が修繕義務の範囲外として考えられるため、家主が費用を負担してピッキングに強い錠に交換しなければならない、という義務はありません。
従って、ピッキングなどによる侵入被害が発生しても、入居者が「家主の責任を追及」することはムリでしょう。しかし、ピッキングに強い錠に入居者負担で交換した場合、入居者退居時にその錠に残存価値があれば、その分の費用を「有益費」として入居者に支払わなければなりません。
法606条では「賃貸人は賃貸物の使用および収益に必要なる修繕をなす義務を負う」と規定されていますが、これは任意規定であるため、当事者でこれと異なる合意がなされていれば有効となっていました。だから、賃貸借契約書に特約として、「入居後の代償修繕は賃借人が行う」などの条項を設けて、修繕を賃借人に行わせてきた賃貸人も大勢いました。
しかし、平成13年4月に消費者契約法が施行され、その第10条において「民法、商法、その他の法律に公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」と規定されています。
従って、全ての修繕義務を賃借人に負わせることは、この規定に違反するおそれがあるのです。今後は、賃借人に全ての責任を負わせる条項にするのではなく、事案によって補修費用を按分するなどの工夫をする必要があるといえるでしょう。
「法的な義務」という点で、「今のままでも大丈夫じゃないか」と思われる方も、「不動産賃貸業はサービス業である」という入居者側の一般的認識の前では、入居者からは「法的義務」以上のサービスの提供が望まれることは明白です。
昨今の犯罪実態や、ネットワーク上での他人同士のつながりや個人情報の流通が日常化している現在、「悪意を持った他人からの侵害」に対する自衛意識も高まりつつあり、「安全とプライバシーの確保」に対する投資は、今後益々価値を増して行くことでしょう。
安全がただで手に入る時代は、終わったのですから。
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